2022.05.28
[オンライン採用イベントアーカイブ記事] 保育者によるトークセッション「私から見たやまのこ」
これは2022年5月28日に行われたオンライン採用イベントの一部、保育者によるトークセッション部分のアーカイブ記事です。保育者4名に、実際にやまのこで働くってどういうこと?どういうことが起きている?などを聞いてみました。
登壇者自己紹介:
Ichiro:東京18年、横浜18年、
妻の地元鶴岡に来て10年。
保育園勤務は3園目。
0-2歳児のやまのこhome勤務。
Mina:東京と山形市に住んだ後、
地元鶴岡に。3人の子育て真っ只
中で上は思春期の高校生。
やまのこhome勤務。
Ayane:大阪出身、関⻄の公立保育所勤務後、
北欧の幼児教育に興味を持ち、ワーキング
ホリデーでデンマークに2年間滞在。
帰国後2021年春やまのこにジョインし、2年目。
3-5歳児のやまのこ勤務。
Neina:宮城生まれ、群馬育ち、
埼玉の大学を経て、新卒でやまの
こへ。やまのこhomeで0歳児担当。
-まず住んだ場所も経験も違う4人に、どうやってやまのこを見つけたか、なぜやまのこに入ろうと思ったかを聞いてみます。
Ayane:福祉が有名な北欧デンマークで、どんな保育をしているかを見た後、やはり日本で保育をしたいと思って帰国して探していた時に、やまのこの1年間を追ったドキュメンタリーのオンライン上映会に参加して出会いました。やまのこは北欧風です!とは言ってないけれど、すごく空気感がデンマークの保育現場と似ていていいなと感じて、東北に縁はなかったけれど応募しました。
−具体的にやまのこのどのような雰囲気に惹かれたんですか?
Ayane:保育園や幼稚園では「今はこの時間、これをします」と大人が枠を決めることが多いと思うのですが、やまのこでは極力子どもがやりたいこと、遊びたいことを大人が応援するという形をとっています。そういう雰囲気や、子どもも大人も保護者も互いをファーストネームで呼び合い、子どもだけでなく大人も一人の人間として尊重されているところが、北欧と似ていると一番最初に感じたきっかけです。
−他園での経験を経てやまのこにきて、どんなところが魅力ですか?
Ichiro:変化というものをポジティブに捉えているところですね。Spiberややまのこが掲げている生態系の中でみんなで共存していこう、という目標を目指す時に、目指すための方法はいくらでも変えられるという柔軟さを感じたことが一番でした。また、保育の学生の頃から保育園の「みんなでこれをします」ということに違和感を持っていました。やまのこを見つけて、ここだったら人を尊重するとか、みんなで一緒にいい感じに生きていこう!ということを実現できるんじゃないか、というのが選んだ理由です。
−新卒で入られたきっかけは?
Neina:大学のゼミで調べた森のようちえんに漠然と惹かれていました。実習などで、きちっと「今は遊ぶ時間、今はお絵描きの時間」と区切られていることを窮屈に感じて、自由度が高く、自分の好きなことを好きなタイミングでできる森のようちえんに魅力を感じて、就職するならこういうところがいいなと思っていました。森のようちえんのホームページで採用を探したところ、横浜と山形の2つ求人が出ていて、高校の恩師に相談してみたんです。そうしたら「お前、ここは山形だろう」と。見学に行って、すごくピンときて、自分がここで働く姿が想像でき、あっているかも!と応募し、今ここにいます。
−入社前のイメージと入社後で何かイメージが異なることはありましたか?
Ichiro:おしゃれでキレイなイメージが記事やHPでは目立ちやすいと感じていて、もちろんおしゃれでキレイなところもあるが、そこではなくて、お互いを尊重し合っている職場であることを実感しています。
−働いている人同士で大切にしていることや、保育で子どもと関わるときに大切にしているなと感じるところは?
Mina:看護師として病院や保健センター勤務を経てやまのこにきて、保育現場が初めてで、日々、スタッフ間で話をしていると「そういうふうに子どもたちを見てたんだ」とアッと気付かされます。「あなたはどう思う?」と自然に会話として飛び交っていて、一人の子どもをいろんな角度からみるって面白いし、会話・対話が飛び交っているのが楽しく、そして大切だなと思います。
Ayane:いい意味でなんでも聞けるのは良さだなと。疑問に思ったこと、例えば「あなた今どうしてこう関わったの?」とか、場合によっては攻撃的に聞こえるかも知れないけれど、ここでは「私だったらこうしたかも。あなたはどう思ってたの?」というやりとりが結構毎日当然のこととしてあります。最近、やまのこhomeのIchiroさんたちと同じ散歩先にいくことがあり、帰り際の子どもへの関わり方で、あれあれ?と疑問に思ったことがあって、電話で「あの時どうしてそうしたんですか?」と聞いて、「こう考えてこうしたんです」と言ってもらって。もやもやが残ると、次に同じような場面になったときに安心して保育ができないけれど、すぐに投げて返してくれてOKみたいな、聞ける環境ですごくありがたいです。(※やまのことやまのこhomeは場所が離れており、大人の足で徒歩5分ほどの距離にあるため、電話でのやりとりでした)
Mina:早いですよね。今と思ったら今話したい、みたいな。その日のうちに「話しません?」と。それが説教部屋みたいな感じではなく、「どう?」と本当に自然に話せるのがいいなと。
Ayane:毎日子どもたちの午睡の時間帯にスタッフが集まって「今日こうだったね」と子どもたちの様子を共有する時間を取るようにしています。前職の現場では毎日その時間をとるのはすごくハードルが高かったので、やまのこがその時間を大切にしているということは、すごく価値があるなと。
Neina:そういう時間が確保されているというのもそうだし、そもそもSpiberもやまのこも、対話をものすごく大事にする。やまのこの職員合宿でも対話をぼぼメインでやっていますし、対話がベースにあるコミュニティだからこそ、日々の生活の中でも、パッと疑問に思ったことを話し合える土壌ができているなと感じます。やまのこのコミュニティの中で、自分は年下で、みんなみたいに前職での経験があるわけではないけれど、疑問や伝えたいことを伝えて、メンバーがしっかり受け止めてくれて、その先に繋がっていく感覚があって、対話を大事にしていることっていいなと思うし、自分の幸せに繋がるなと感じています。
Ichiro:わからないことを聞くことのハードルが低い。教えたじゃん、とかない。そんなのわかんない?という対応はないですよね。
Neina:当たり前、で終わらせない。「これなんでこうなんだっけ?」とそこに気付く人もいるし、確かにそうだね、と受け止める人も常にいる。だから疑問を発しやすい環境だと感じます。
Ayane:Minaさんのように、保育経験者ではない人もたくさんいるから、保育業界あるあるを踏み込んで聞いてもらえるし、保育やってきた人も、やまのこでずっと働いてきた人も、「あれ、なんでだったっけ?」と考え直して、思っているのとそぐわなければ、一緒に変えていくし、わかってもらえるようにちゃんと説明する場面もありますね。
Mina:大人の固定概念が染み付いているけれど、「え、それって本当なのかな」と子どもたちの姿から考えさせられる場面が保育をしていてたくさんあります。やまのこではいろんな面から汲み取って「なんでこれをやっているんだろう?」という疑問に思うことを共有時間などで日々話し合って保育をしていくのが面白いですよね。
−大変なことは?
Ayane:冬の厳しさ。去年が私にとって初めての冬で、こんな雪国初めてで。毎日新しい雪の斜面で、毎日そり遊びができるということに感動したけれど、でも厳しかった。初めての雪かきは、雪かきのコツを教えて欲しいと行ったら腰を痛めないやり方を図解で教えてもらい無事に冬を越せました。
Ichiro:大きい子たちはそり遊びまで行く意欲があるかもしれないけれど、0-2歳だと外に出た瞬間にひ〜〜〜と風に飛ばされそうになってすぐに帰って来る、ということもあります。それはそれで寒さ冷たさを体感して、寒かったね、と。
Mina:自然の中から子どもたちが自分の身を守る術を、日々の厳しさを体感して学んでいるなと感じます。こっちから風が吹いているからフードを斜めに構えて進もうとしたり、子どもたちが、自分の今あるもので身を守る姿、すごいなと思う!
Neina:もう慣れたけれど、入社当初、職員合宿で保育目標の「今を幸福に生きる」とは?という議論がされていて。「今ってどの今?」とか「幸せって何?」とか議論していて。「今?」「幸せ??」と、自分が今まで深く考えてなかったところをすごく深く掘っていくことがやまのこではあって。対話の時間が設けられて深い対話に入っていくことが結構ありますけど、そこで自分の答えを見つけるのが、最初すごく「わからない!」という感じでした。4年目になって、丸3年間、自分に対しても相手に対しても深く掘っていく練習ができてきた感じがしています。例えば、自分の状態について、今まではなんとなく不調、と思っていたのが、「今日は頭が痛い」とか「心理的なストレスがかかってる」というように、今の自分の状態が把握できるようになってきています。思考回路がクリアになって、深く考える回路ができてきて、今感じていることを掴んで言語化するというのが少しスムーズにできるようになってきましたが、最初はすごく大変でした。
Ayane:慣れないと大変かも。頭をすごく使うよね。
−大変だけどだんだんできるようになっていくの?
Mina:「なんかいい感じ」というところをみんな追求している感じがします。やまのこにはいろんなライフステージの方がいて、若い人も、子育てが終わった人もいて、それぞれの年代や時期にあったいい感じを追求している感じがして。それが働き方や給与宣言にもつながっている。Ayaneさんは今どんな感じです? 今いい感じですか?
Ayane:今日はいい感じ。保育は、体力も脳みそもすごく使うから、週5日連続で働いて、その後会議があったりすると、疲れたりしんどいこともあります。休みが取れたらいいけれど、キャパオーバーになる前にお休みをとろうという意識ももちろんあるけれど、「今日、早めに先帰ります」と言うのは難しいと感じることもあったり、みんなとの調整やまわりの状況を見ることが必要なところもあるし、連休は様子見みたいな感覚もあります。
Mina:やまのことやまのこhomeの距離が離れてるけれど、今この時間が欲しい!という時に、両園のスタッフ同士のヘルプや行き来があるので、ちょっとした時間をフォローしあえるのは大きいです。混ざるといつも一緒のメンバーの視点だけでなく、新しい視点を届けてくれるから、気づきをもらえて新たな広がりが出ますし。
Ayane:課題であり、今頑張って取り組んでいることですよね。場所が物理的に離れているから、一つの園だけで保育が完結しがちな時があるけれど、そこを、休憩時間が回せていないから助けてーと声をあげて、昼からヘルプに行ったり、(そうやって両園でフォローし合うことを通して)そこで課題を共有したり情報共有ができたり。
Mina:子どもたちもいろんな大人がいるということを自然に感じ取っているなと感じます。小さい子は見慣れない大人が来るとふえーっとなるが、大人が循環していると子どもたちも自然に受け入れて行っているなと。
−対話がベースにあると感じますね。対話は、違いを受け入れることでもあり、自分を表現することでもあって、それ自体が大変だと思いますが、自分の状態に気づく感度を上げていくことで、それが生きる力につながっていると感じました。みなさんが一番楽しいことは?
Ichiro:「一番」ということがなくなったのが一番楽しいですね。目的地とか、この活動をして達成して嬉しい、というのではなく、日常の全ての過程を子どもたちが味わっているんだな、というのを子どもたちをみていると感じます。散歩に出るときも、石を拾っていて、散歩は全然進まないが、しゃがんで視線を合わせてみると、なるほど、これは楽しいとわかり、一緒に味わえるようになりました。こういう狙いでこういう活動をします、というのが固定されていなくて。固定されていると見えなくなるものもあるのかな。彼ら自身が楽しんでいる姿を、「ああなるほど、こうやって楽しいんだね」と、一緒に味わえるようになったというのが、自分にとって大きな変化だったなと。
Ayane:ワクワクすることは、大人(スタッフ)のマインドとして、子どもたちから「これやりたい!」と出てきたアイディアを「いやそれ危ないから」とか「それないから」とかではなく、どうしたら本当にできるかな、と考える方向に持っていく、そういうマインドを持っている大人がすごく多いこと。自分の気持ちとしても、ダメダメと言うよりも、「こうしたらできるかも」と考えていく方が、本当にできなくても考えていて楽しいです。一番面白かったのは、卒園を控えた年⻑児が最後にやりたいことをリストアップしてそれらをやろうという時に、「プールしたい!」と言い出した時。3月にプールしたい!という想いを、担当スタッフが「じゃあどうやったらやれる?」と子どもたちとディスカッショ
ンして、家からビニールプールを持ってきた子どもがいて、その中にお湯を子どもたちが入れて、水着に着替えて、冬なので室内でビニールプールに入る、というの実現しているのを横で見て「うわ、ここ、すご、ダメって言わないんだ!」とワクワクしました。大人はもちろん、子どもたちもいい表情をしていたし、そういう場所にいられる子どもたちはいいなと思うし、自分もそう言う場所で、過ごしていけることが嬉しいなと感じました。
Mina:やまのこに入ること自体、最大のワクワクです。経験したことのない場所でのチャレンジで、見学に来たときにやまのこに流れている風みたいなものを感じたんですよね。草木染めのガーラントの飾りが揺れているのもだし、大人も子どもも、雰囲気そのものが。「地元にこんな素敵なところがあったのか!居心地がいいな」と、ワクワクがそこから始まってます。
Neina:うつ伏せや寝返りを練習している小さい子がいて、一緒にうつ伏せになってみたら、向こうからドドドって走ってくる子どもたちの足音の振動が身体にばーっと響いて「めっちゃ面白い!」と思ったんです。その子は、隣で状態を起こして頑張って動こうとしていて、重力に逆らう感覚を久しぶりに感じて。大人って床にうつ伏せになること滅多にないですよね、大抵、マットの上とか衝撃を吸収されるものの上にいるから。振動を身体で感じるとか、今まで見えてなかった世界や知らなかった感覚を子どもたちと一緒に過ごすことで掴む感じにワクワクしました。
あと最近、1歳2ヶ月の子がドアのかんぬきの鍵を大人がやっているのを見て、自分で抜きたくなり、(私は彼女の手が届くように)抱っこしながら頑張れー!と立ち位置を移動してあげて、どうやったらかんぬきが挿さるかの試行錯誤している姿に、こっちを抜いたらいけるよーと見守りながら過ごした時があったのですが、ついにドアがあいた時の「開いたあ!」と喜ぶ顔がみれた時。子どもの発見に立ち会う瞬間は、ものすごいワクワクするなと感じました。
−4人それぞれでしたが、子どもと暮らすということに置いてワクワクがあるということが伝わってきますね。
聞き手:Takuto Kashiwagi
RELATED