2023.03.30
発達部レポート|西海石みかささんを迎えて 〜 シェルハブ・メソッドに出会う
Text : Shizuko Miura
シェルハブ・メソッドとの初めての出会い
私が0歳の子どもたちと過ごしている(暮らしている)中で気がついたことは、子ども一人ひとりの体の動きの違いでした。それを受けとめ、次につなげる手立てに、何かないだろうか、という問いが立つようになりました。
2019年春、「子どもの自然な発達を支援する方法」という「シェルハブ・メソッド」に出会いました。7月には宮城県塩竈市在住でシェルハブ・メソッド国際認定指導者の西海石みかささんが来園し、職員研修をしていただく運びとなりました。私達の問いをみかささんと共に考える時間になりました。それは、子どもたちの今の姿をありのまま受けとめつつも、他の道もあるのだと気づかせてくれるものでした。
みかささんとの再会
新型コロナウイルス感染症流行のため、みかささんとの直接の交流はできなくなり(この間オンライン等での連絡になっていました)、今回、ほぼ3年ぶりの対面での再会となりました。前回の研修に参加していないメンバーも増えたこともあり、改めて、大人自身がシェルハブ・メソッドに出会うことがテーマとなりました。
シェルハブ・メソッドは「体の地図をつくるお手伝い」
当日、午前中は、妊娠期〜1歳の保護者の皆さん向けワークショップがあり、モデルとなってくれた9ヶ月のお子さんの姿を通して「なるほど!!」と思っていただいたようです。
午後は、いよいよ3年ぶりの保育者の体験です。「今日はお話中心ではなく、実際に体を動かしながら感じてみましょう」とみかささんのあたたかな声や表情に出会い、少し緊張していた気持ちもほぐれ、仰向けになることから始まりました。
体の力を抜いて、みかささんの言葉に導かれながら、自分の体のあらゆる所へ心を向けます(まずは半身のみやってみました)。みかささんの言葉を聞きながら意識して動かした片側と、動かしていない反対側との感じはどうですか?と問われ、意識して動かした側の軽やかさ、動かしやすさなどに気がつきました。
大人はすでに「右足はここにある」という感覚がありますが、生後間もない子どもたちは、自分の体への感覚はまだはっきりしません。シェルハブ・メソッドでは、子どもたちが「自分の体だ!?」と気づくことへの案内として、子どもの体に触れることで、脳を刺激していきます。そうすることで少しずつ子どもは自分の体を感じていくといいます。「体の地図をつくるお手伝い」とはみかささんの言葉です。実際の手順としては、安定した床の上で横になった子どもに「ここが足だね」など大人が声をかけながら、ポンポンとタッチし、むぎゅっとやさしくつかんで刺激していきます。
今回、私達大人は二人一組で片側だけ肩から手の指、背中、おしり、そして足の指までポンポンとむぎゅっをしてみました。マッサージではないですが、心地良いタッチと手のぬくもりからか、うとうとしてしまいそうな心地になっていました。
体のくせをときほぐす
体が意識せず動く時、好きな動きが中心となり、それが体のくせとなり、別のところに負担がかかってくるそうです。全身をポンポンし、むぎゅっと刺激することで、別の回路もあると体が気づくことへつなげられるようです。体のくせを矯正するのではなく、くせを受けとめながら別の回路・選択肢を提案する。「選択の幅を広げる助け。狭い幅から広い幅へ。心も体も道が広く、いろいろな道を選択できるといいですね」とみかささん。それは子どもの体だけでなく、大人の体にも、そして心のあり方にもつながっていくことではないだろうかと思いました。
シェルハブ・メソッドとやまのこ
4年前初めてシェルハブ・メソッドに出会った時、子どもへのまなざしや関わり方に、やまのこの大人が想っていることと近いものを感じました。わたしたちは、子どもは生まれた時から、その身体に、生きる力、この世界へ働きかける力、探究する力を持っている尊い存在であり、それを受けとめ少しだけ提案もしていく大人の関わり方と、そしてそこから子どもが発展していくことを大切に想っています。今回みかささんとすごした4時間を通して、その想いを改めて感じることができました。
次回は…子どもの体の発達のしかたや、大人の関わり方について、子どもへのまなざしも含めて保護者のみなさん、子どもたち、そして保育者も一緒に体験することにより、深めていける場をつくっていければと思います。
追記
今回のシェルハブ・メソッド職員研修の前3ヶ月ほど腰痛に悩んでいた筆者、二人一組でポンポンとむぎゅっなどをしてもらい、帰宅した夜のこと。「あれ?!腰が痛くない!!」と気づき、その後痛みが大きくなることがなく過ごせています。自分の体に意識を向けることの効果だったのかなと、ありがたく思っています(ストレッチも時々しています)
西海石さんの研修を受けて
Text : Yuki Baba
今回初めて西海石さんのシェルハブメソッドの研修を受けました。
おもしろいなと感じたことは、自分の体の「重み」を感じたことをきっかけに地球という天体にまで想像が膨らんだことでした。
西海石さんの言葉を聞きながら、仰向けになり、全身や舌、唇などの一部分の力を抜いたり、その後に改めて体を動かしてみたりする中で、「自分の体ってこんなに重いんだ」という実感を持ちました。体の重みを感じながら、「重みってなんだろう?」という問いがたち、体を地球に引きつける引力のことを思い出しました。
やまのこ保育園の保育目標に「地球に生きているという感受性を持った人として」という目標があります。その目標に向かって、個人的に以前から「どうしたら地球という天体を感じることができるだろう?」と思っていました。というのも、私は普段生活している中で、風や光、土や水などの自然を感じることはありますが、その時に地球という天体を意識することがないからです。
今回の研修で自分の体に焦点を当て、体の「重み」に気づき、その「重み」をきっかけとして、地球という天体に意識が向かったことは、私にとって一つの驚きでした。最も身近な自分の体の重みが地球という天体の力を表現していること。体があるからこそ、その引力を感じることができること。保育目標である「地球に生きているという感受性」を考えていく上でとても良いヒントになると思いました。
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