2019.11.01
オープンデイ特集[4]問いを追いかけて見て。あれはなんだったろう? ー 安全基地→新世界
Text : Shizuko Miura
ふき組からわらび組へ移行する過程で子どもたちはどんな思いで動いているのだろう。移行に関わる大人5人が子どもの姿を観察し考えてみることで、子どもの想いへの感度や大人の関わりが更に深まって子どもの暮らしを支えられたら、と取り組んだテーマでした。
移行前、やまのこの暮らしの中でHくんがわらび組と関わる時間は、降園の時に立ち寄って好きな物で遊ぶ程度でした。そしてその中でわらび組のいろいろな物に好奇心のアンテナが向いていったように思います。移行の際、わらび組で過ごすことを提案してみると「うん」と出かけて行きました。パワフルだけど慎重なところもある彼を動かしていたのは、新しい物に出会える楽しさや嬉しさ、これはなんだろうと思う好奇心だったのでしょうか。それでも気がつくといつも一緒のふき組の大人がいなくて不安で泣いていました。わらび組で過ごす時間が伸びるにつれて泣く時間が短くなり、わらび組の友達の名前を呼んだり遊びに集中する姿が多くなっていきました。
大人5人の記録をみると、日を重ねるごとにHくんが自分から動いて少しずつわらび組の子どもたちや大人との関わりが増え、多くのことを吸収している姿が見て取れ、彼の世界が拡がっているようで、なんて素敵なんだろうと思いました。新しい世界に入っていく時、大人もそうですが子どもたちもきっと色々なことを最後は自分で決めたり選んだりしているのではないでしょうか。その時そばにいて”そうだね”と頷いている大人の存在が、ほんの少し後押しする力になったり、支えになったりすることもあるでしょう。しかし、記録を経て、子どもたちの内側にある力こそが、自己決定や自己選択を可能にさせているのだろうとの思いに至りました。
企画展の後、わらび組からあけび組へ移行する子どもの姿を共有する機会がありましたが、新たな視点が見えたようで、やまのこの暮らしの中でクラス移行をどう考えるか、また新たな問いが生まれたテーマでした。
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