やまのこ保育園

惑星のようす

"いってらっしゃいパーティーの舞台裏"

2024.05.01
いってらっしゃいパーティーの舞台裏

Text : Neina Asano

 

2024年3月30日、土曜日。やまのこを旅立つ11人のカサスさんの背中を押すように強い風が吹いたよく晴れた日。やまのこの第5回いってらっしゃいパーティーが開かれました。

今年は、*卒園PJ(卒園プロジェクト)にオフィススタッフとして参加していた私の視点から、いってらっしゃいパーティーの裏側についてお伝えします。

(*卒園PJについては、昨年の菜穂子さんの記事をお読みください。)

今年も卒園PJメンバーによって、卒園に関する様々なことが決められていきました。卒園PJが本格的に動き出したのは2023年11月13日。このミーティングの中で、自分たちが大事にしたいことを話し合いました。

 

・卒園児にとって節目の日だと感じられる旅立ちの儀式になること

・卒園児、卒園児家族が保育園で過ごす最後の時間に浸ることができる時間的空間的な余白があること

・卒園児が、在園児と保育園の大人たちからの親愛の気持ちやエールを受け取り、小学校へ向けて背中を押される&いつでも帰って来られる場所だというメッセージを感じられること

・在園児、保育園の大人が卒園児へ親愛の気持ちやエールを贈り、別れを惜しむ時間になること

・年中さんが卒園児から年長のバトンを受け取る(卒園式での晴れ姿を見届けることで1年後の自分をイメージする)時間となること

これらの点を踏まえ、今年のいってらっしゃいパーティーは3ページに分けて構成することにしました。

 

1ページ目は、少しきっちりとした式典。卒園児家庭と年中さん、やまのこの大人だけで過ごします。

2ページ目は、やまのこのメンバーもhomeのメンバーも集まって、楽しく過ごす時間に。

そして、3ページ目は、夕方に卒園児家庭とやまのこの大人が集まり、楽しくて美味しいパーティーを開くことになりました。

卒園PJのタスクは多岐に渡りますが、その中でも多くを占めていたのは卒園アルバムの作成です。カサスさんたちがやまのこに在園していた期間の写真を1冊にまとめていきます。

私は、やまのこでオフィススタッフとして働く前は保育スタッフとして働いていました。その時、カサスさんたちとは本当に多くの時間を一緒に過ごしました。

 

子どもたちとともに過ごした時間を思い出しながら、その子のその子らしさが溢れる写真を選んでいくこの時間はどれだけ尊いことでしょう。

 

この時はまだ小さかったな。

この時、こんなことをして遊んだな。

そうそう、この子はこういう遊びをよくしていた。

「おはよう!」と毎日のように挨拶ができる日々はあと何日だろうか。

 

そんなことを思いながら、私は時々、いろんな気持ちが溢れて泣きそうになりながら写真を選んでいました。

最終的に卒園アルバムという形にしたのは卒園PJメンバーですが、選ばれた写真の1枚1枚には、やまのこに関わる人たちの思いが溢れています。

卒園PJメンバーの千尋さんは、卒園アルバムを作る前、”この写真だけでその子を語れる。そういう写真がたくさんあったらいいな。”というイメージを持っていました。

実際、以前に千尋さんが作成したアルバムは1枚1枚にその子らしさが溢れており、この1冊を見るだけで、どんな日々を過ごしてきたのかが感じられるようなそんな作品となっていました。今回の卒園アルバムも、そんな思いを互いに持って、写真を選び、レイアウトしながら、作り上げていきました。

 

そして迎えた3月30日土曜日。例年は3月31日の平日に行われていたいってらっしゃいパーティーですが、2023年度は3月30日が土曜日だったこともあり初の休日開催となりました。

今まではパーティーがある日は平日だったため、パーティーの最中はもちろん、その後も通常保育が続きます。homeで生活する小さな人たちのことも考慮して、例年homeの保育者は式の部分的な参加に留まっていました。

しかし、今日は土曜日。Kちゃん発案の”自分らしくいられて、素敵な気持ちになれる装い”をテーマに、思い思いの格好をするスタッフに見守られながら、パーティーは始まり、、そして、無事に幕を閉じました。

でも、卒園PJはまだ終わりません。

 

パーティー当日は、保護者の皆様にはその場の空気を存分に感じていただけるように、全面的に撮影は控えていただいており、スタッフが当日撮影した写真や動画を、後日デジタルプレゼントとしてプレゼントしています。

4月に入ってからというもの、私は、当日スタッフが撮った写真の選定や当日のパーティーの様子、裏側の様子を撮った動画などを一つずつまとめていきました。

そこには、当日は気づかなかった、見えなかったスタッフの1人1人の表情や子どもたちの姿がおさめられていました。その中でも特に印象的だったのは、子どもたちのパーティー登場の前と退場の後の姿です。

パーティーが始まる前。会場に続々と人が集まり自分たちが登場するまであともう少し。カサスさんたちは、いつもは入れない事務所で待機しています。最初はリラックスしているような表情を見せる子どもたち。登場まで10分を切った頃、朝子さんが呼びかけ、みんなで座ります。「今、どんな気持ち?」と朝子さんが子どもたちに問いかけると、言葉にはせずとも、みんな自分の心と向き合っている様子。そして、朝子さんが「よし、カサスさん」と呼びかけ手の甲をみんなの前に出すと、すっとみんなが自分の手を朝子さんの手に重ねます。「カサスにできないことはない!えいえいおー!」と掛け声をかけると、いよいよ登場すべく、みんな一列に並び始めました。

静かに朝子さんの言葉を聞き自分と対話するような姿と、当たり前のようにみんなで手を重ねる姿に、カサスさんたちの成長と絆を感じました。

 

そして、退場後。緊張をほぐすようにジャンプするAくん、Tちゃん。倒れ込むNちゃん。大好きな一朗さんと握手をするHくん。ほっとした表情を見せるHちゃん、Kちゃん。そんなKちゃんに抱きつくFちゃん。優樹さんに抱きつくIちゃん。Kちゃんの顔をみてほっとした表情のAちゃん。「ふー」と汗を拭うようなリアクションを見せたBくん。堂々と歩いてきたKくん。

どの子も、みんな本当にいい表情をしています。みんなの表情を見て、改めて、この子たちを無事に送り出すことができて本当によかった。卒園PJメンバーとして、ここまで進めることができてよかったなと心の底からそう思いました。

 

私が”卒園”というものに関わるのは今回で2回目でした。卒園とはどういうことか、どんな思いをこめるのかを学んだ1年目。そして、より確かなイメージを携えて進めることのできた2年目。自分がやまのこに飛び込んだ年に出会った子どもたちを、無事に送り出すことができた喜びは、想像以上のものでした。

私が彼らと一緒に過ごした時間は、きっと彼らの長い人生のほんの一部でしかありませんが、やまのこで過ごした時間が花を咲かせるための土となり、光となるような、そんな温かさがみんなの心の中にあったらいいなと願っています。

カサスさん、また、みんなと笑い合う日を楽しみにしてるよ。

いってらっしゃい!

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