2019.07.26
カッコウが鳴く満月の日に
Text : Saeko Imai
五月に入ってから晴天の日が続き春らしさが一気に増しましたね。
毎日、あけびの子どもたちは屋外遊びに忙しい様子です。子どもたちと一緒に過ごしていると、「地面」に敏感になります。虫を探したり、ブーケを作ることが大好きな子どもたちは毎日地面を見ながら生活しており、「このお花を使って冠作りたい」「なにこの虫!」と自然界の変化のアンテナを常に高く保っています。
4月の暮れに園庭プロジェクトのアドバイザーであるフィル・キャッシュマンさんとスタッフで一緒に作ったガーデンベッド(花壇)に土と堆肥をみんなで混ぜて入れました。土地感がまだあまりない私は種をいつ植えるか悩みましたが「カッコウが鳴く満月の日にタネを蒔くのが良い」と本で読み、満月を待ちました。あいにく今月の満月は日曜日だったので、その次の月曜日から一週間かけて種をまくことにしました。なんと本当に満月の後の月曜日の朝、通勤中にカッコウが鳴いたのです!
トマトやナス、ほうれん草やシソなどのタネを子どもたちはまじまじと見つめ、「え、これ全部タネなの?」というように一つひとつ個性的なタネをつまみ、匂いを嗅いでいます。そのタネを粘土質の土と堆肥を団子状にしたものにパラパラとまき、「ドカン!」「それー!」とガーデンベッドに放り投げます。実はこのプロセスに子どもたちの興味はバラバラで、ある子は最後まで熱意を持ってやったのですが、ほとんどの子は途中でふら〜っとどこかへ行ってしまいました。(私の導入にも問題があったと反省…)しかし驚いたのは、タネを蒔いた後にお水をあげる行為には、ほぼ全員情熱を持って、そしてとても丁寧に取り組むのです。「早く大きくなってほしいね」「美味しくなってね」と優しい言葉がガーデンベッドに送られます。
晴れの天気が続き、お水もたっぷりあげたので、数日後にポコポコっというように芽が出てきました。それを見た子ども達は大喜び。さらに水をあげることに熱が入ります。小さな芽に子どもたちが水をあげる姿はなんだかとても感慨深いものがあります。生命力に溢れているもの同士が共鳴しあう何かを感じるのです。美味しい野菜や果実ができるのはもちろん嬉しいですが、子どもたちという自然とともに、風や太陽を浴びながら作り上げるプロセスに大きな喜びを感じています。
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