2019.11.01
オープンデイ特集[1] やまのこオープンデイを終えて
Text : Aya Endo
今年も残すところあとわずかとなりました。白鳥の声から冬の到来を感じたのが10月はじめでしたから、本当に月日が経つのはあっという間ですね。やまのこでは雪が積もる前に、たっぷり身体を動かして遊びたいと思っています。
さて、今回は10月13日に開催されました「やまのこオープンデイ」特集です。昨年、まさかの初雪で大雪の事態を教訓に今年は雪の降らない10月に日程を決めたのですが、13日当日に大型台風19号がやってきました。安全第一ということで13日の夜のイベントだけはそのまま実施し、それ以外の企画は14日へ順延することにしました。順延した影響もあったかと思いますが、およそ250名の方に来場いただきました。今回は、家族連れのはじめて来訪される地域の方、遠方からわざわざ来てくださる方、教育関係の方などの来訪が目立ったように思います。
ここでは、オープンデイと同時開催した企画展「アクション・リサーチ 変容するわたしたち展」の制作過程をふりかえり、どんなことが起きていたのかを保育者個々の視点でまとめたものを連載することにしました。「問い駆動型保育」を標榜しているやまのこでは、毎月各クラスで起きている出来事から「問い」をたてて、保育に臨んでいます。しかし、その問いを数ヶ月追いかけて記録をとることはこれまでできていませんでした。今回企画展のために、ひとつのテーマにしぼって記録をとりつづけ、どんなふうにまとめたら伝わるものになるだろうかとみんなで知恵を出し合いながら制作していきました。その過程そのものが、今後保育していく中で自分たちの力になっていくだろうという期待があったのですが、いま展示を終えてみて、思っていた以上の効果があったように感じています。
連載[1]では、企画展のためにまとめた挨拶文をそのままご紹介いたします。
アクションリサーチ「変容するわたしたち展」開催に際して
子どもも大人もこの場自体も互いに変容しあい構成しあいながらここにいる−。
保育の現場で起きている本質とは、そんなことなのかもしれない。まだうまく言葉にできないけれど何か大切な発見のように思えるこの感覚を確かめるように、わたしたちは子どもの変容と、その変容に応答することで生じるわたしたち自身の変容を追いかけたいと思いました。
子どもへの応答は保育の場のクオリティを形成するかなり重要な要素です。応答の頻度はといえば、本展示のリサーチ4の映像「ここでゆめみてるみたい」では、12分の間に60回の大人による言語による応答があり、1日8時間で単純計算すると実に2400回の応答がなされていることになります。非言語の応答も含めれば、どれほどのやりとりがなされているかと考えるだけで目眩がします。
大人側の応答には、その子の成長の過程からの即応的な解釈の上で、次にどうするかを判断することまでが含まれています。まるでジャムセッションのような解釈と判断は、子どもと大人の両方の間で、そこにある関係性や環境も織り込みながら展開していきます。この不断に続いていくジャムセッションこそが、ここで起きていることの実相であり、また互いの変容を駆動するものとなっているのです。
企画展というかたちで、3ヶ月間のわたしたちのアクションリサーチの結果をみなさんに共有できることを嬉しく思います。これからも「子どもを知ることは人間を知ることである」という思いを胸に、保育という営みからみえてきたことを発信していきたいと思います。