2020.02.12
木との時間
Text : Rie Motokura
晴天の中での雪遊び。雪と存分に戯れた後に、たまたま木の元へやってきたSくん。
木を触りながら、何やらおしゃべりしているよう。それは、私には聴こえないくらい小さな声。手を当てて、頭もくっつけて、何か聴いているのかな。冷たい、ざらざら、でこぼこ、どんな感触を手にしたのかな。
右手の指は、木の小さな穴を触ったり、手のひらで摩ったりを繰り返す。立ち上がり、顔をあげても、木を触り続けている。そばにKくんがやって来たことにも気付かないくらい、木を見つめていた。
木を一周したあとに、「ふうー」と大きな息をついた。木を抱きしめ、しばらく離れない。
人との会話が盛んになっている今の時期、言葉をもたないものに静かに向かうその姿は何だか美しく、その時間の中にある感情をすこし覗いてみたいなと思いました。
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