やまのこ保育園

惑星のようす

"はじめての卒園式"

2020.04.30
はじめての卒園式

Text : Chihiro Taniguchi

開園から1年5ヶ月。3.31にはじめての卒園式を行いました。
卒園式まであと3ヶ月の12月のある日、卒園式って一体何?なんのためにやるの?どういったメッセージが込められた日?などという話からはじめての卒園式プロジェクトが始まりました。

卒園式と一言で言っても、やまのこを巣立つ子どもたち、ご家族、見送る人たちにとっては一生に一度の記念の日です。そんな私たちの記念の日として、どんなかたちがふさわしいのだろう?とまずは、特色ある様々な保育施設の卒園式の内容を調べてみました。すると、それぞれ園が日常の中で大事に育んでいるものの集大成であるパターンが見えてきました。ある園では、山への探検であったり、ある園では、歌や体操であったり。それらを踏まえ、やまのこらしい卒園式というポイントに立ち返って考えて行くことにしてみました。この1年5ヶ月で子どもたちと育んできたもの…。様々な議論を経て見えてきたものは、”食”でした。

これまで生活の中で、野菜を育てたり、収穫したり、加工したり、調理したりしてきました。”食”が密接に生活と関係してきたことを確認し合い、はじめての卒園式のテーマは”食”にしようと決まりました。卒園していく子たちにとっての晴れの日であることと、食を合わせた時にイメージできたのは、祝膳でした。自分たちの手で祝膳を作って二人の旅立ちを祝うことができたら、やまのこらしい卒園式が作れるのではないか、と考えてプロジェクトは進んでいきました。

メニューはちらし寿司とお味噌汁に決まり、ちらし寿司に必要な酢蓮根、椎茸と薄揚げの煮もの、かんぴょう煮、を一日ずつに分けて仕込んでいきました。卒園式前日には庄内のお魚伝道師さんにきてもらい、サクラマスを目の前で解体してもらい当日に調理してちらし寿司にのせました。卒園式に向けて少しずつ準備を重ねていくことで送る側も送られる側もお別れの実感を抱いている様子があちらこちらに見えてきました。いつも通り自分たちで味噌汁も作ります。しかし、出汁だけは特別です。サクラマスのガラででとりました。

装飾も自分たちの手で。わらびさんは卒園アルバムに入れる絵を描いてもらい、こごみさんからは食卓に使うテーブルクロスを玉ねぎで染めてもらい、あけびでは茜染めのカーテンと和紙染めのガーランドを準備し、野花でテーブルを飾りました。
卒園証書も今回は用意しませんでした。やまのこらしい記念品を、という思いから、森の日に持って帰ってきた葛の蔓で冠を作り、草花で飾り付け、冠贈呈を行いました。やまのこらしい手づくりの卒園式がはじめての卒園式になりました。

はじめての卒園式は、この1年5ヶ月を振り返っての集大成でしたが、今年度の卒園式はまだ何も決まっていません。今回の卒園式をこのように作っていったように、4月からの1年で年長の子たちとどんな物語が紡がれていくのかによって、迎えたい記念の日のかたちが徐々に浮きあがってくるだろうと思っているからです。それが問い続ける保育のかたちであり、私たちの願いである”今を幸福に生きる人”へと繋がっていくのではないかと考えています。新しい年長さんの物語はもう既に始まっています。一日一日をどのように暮らし、どんな物語を紡ぎ、どんな卒園式を迎えられるのか。愉しみでいっぱいのあけび組です。

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