2020.10.01
You are what you eat
Text : Midori Goto
冷たい風がふくようになり、田んぼには白鳥の姿が見え始めました。冬がもうすぐそこまでやってきています。 やまのこごはんでは、やさしい土の力で育った根菜の登場回数が増えました。
毎日のごはんには、ガーデンでとれた野菜のほかにも、地元の農家が丁寧に育てているおいしい野菜も使用しています。
季節に即した野菜が届くので、どんな風に調理しようか、野菜を見てから献立をたてています。
そのため、今までの1か月ごとの献立表だと、変更点が多くあり、それが伝わりづらい状況でした。
そこで、献立表を1週間毎のものへと変更しました。農家からどんな野菜が届いたかに加えて、ガーデンで今なにが起こっているのか、どんな野菜を収穫したのか、こどもたちと野菜との関わり等を、1週間毎にすることで今までより詳しく、保護者の皆さんと共有していきたいと思っています。
例えば今日は、O農園さんが、時期が過ぎて大きくなったツルムラサキをたくさん届けてくれました。顔の大きさほどある葉を太い茎から外しながら、スーパーで売っているのは若く小さな先端だけなのだなと考えていました。「大きい葉は若いものよりクセがなく食べやすいと聞いたので、和え物にしよう。」そんなふうに、調理チームでとれた野菜を活かす調理法を考える時間がとても楽しいです。
やまのこ保育園のごはんづくりで心がけているのは、素材の味を生かすことと、風土に即して食べることです。農家のみなさんがかけた時間と労 力を、わたしたちは毎日のごはんを通して感じることができます。ここ庄内で育ち、土地に根付いた食べ物は、気候風土にかなった最適な形や生き方になっています。自然と調和した食べ物は、からだの調和を取り戻すきっかけにもなります。わたしたちのからだも、細胞や菌との共生の仕組みであり、自然の一部ですね。なにを食べるのかは、からだの声をよく聴いてみてください。からだが喜ぶものを食べましょう。
春に子どもたちとまいた種が、暑い夏を乗り越え、ころり ころりと実を肥やした姿。太陽の光と水、土の中のみみずたちや微生物の力を借りて育ち、とれた野菜はまさに自然のめぐみです。季節の移り変わりをわたしたちと結び付けてくれるガーデンから、 食べ物が育つ土の恩恵を学んでいます。
夏には、子どもたちが大きくなったきゅうりを我先にと収穫し、かぶりつく姿がガーデンの至るところで見られました。
秋には、かぼちゃやいちじく、ハーブなどをたくさん収穫し、収穫祭 を開催しました。種をまいて一緒に成長してきた野菜や 果実の豊かさに浸る、楽しい一日となりました。
6月に植えた樹も大きくなり、ガーデンがぐんと豊かになりました。子どもたちより背が低かったいちじくの木は、今ではフェンスを越し、てっぺんに手が届かないほどです。
コンポストが完成してからは、野菜くずを集めてコンポストに入れることが子どもたちのくらしの中に加わりました。コンポストバスケットはキッチンとお部屋に常備される必需品です。野菜くずを畑の土に戻し、種や苗を植え、収穫します。種が育ち、ごはんとなり、自分のからだになっていくことが繰り返されるという実体験 を通じて、いのちの循環を少しずつ理解していきます。
“You are what you eat.”ということわざがあります。【あなたはあなたの食べたものそのもの】
私たちは日々、何かを食べて生きています。「食べる」ことから、新しい発見や大きな自然のサイクルを感じることができれば、 ごはんの時間が楽しく喜びに溢れた時間となるでしょう。それは、わたしたちのからだの仕組みや環境を大切にすることにもつながっていきます。
自分がどういうものを食べているのかを知ることで、たくさんのいのちと出会い、学びにしていけたらと思います。
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