やまのこ保育園

惑星のようす

"「クラス」を問い直すことと「共鳴」の形"

2022.06.19
「クラス」を問い直すことと「共鳴」の形

「クラス」を問い直すことと「共鳴」の形

Text : Saeko Imai

 

4月に入ってやまのこの子どもたちはどのように過ごしているでしょう。

大きな変化として、クラスを前提にした保育園運営のあり方を問い直し、子どもや大人を「こごみ組」「あけび組」で区別することをやめてみました。「こごみ」「あけび」は部屋の名前のみを示す言葉となりました。そして「自分たち(子どもたち)は今日何したい?」という問いに答えられる、興味ベースで過ごせるような人員配置や環境設定を行いました。これは子どもたちが過ごす日々に大きな影響を与えていると思います。

 

その結果、必然的にクラスの概念を超えた関わり合いが増えてきました。例えば、以前は「こごみさん」として過ごしてきたYくん(2歳児)は「あけびさん」として過ごしてきたAくんやDくんやAkくん(5歳児)と思う存分遊んでいます。Yくんは自分より年齢がちょっと上の人たちが気になるようで、彼らと時間を過ごすことで自分の遊び方や言葉遣いの器を広げているように見えます。EちゃんとMちゃん(5歳児)は最近homeから移行してきたTちゃん(2歳児)と遊ぶために、自分たちよりもゆっくり動くTちゃんを待つ姿やこちょこちょとくすぐって笑わせる姿が見られます。私は、そこで起こっていることは「共鳴」なのだと思います。Yくんは自分の体を気持ちよさそうに動かす年上の子どもたちの姿を見て「共鳴」し、自分が達したいレベルに達している人たちと共に過ごすことが楽しくてたまらないのだと思います。そして、Yくんにとってはその時間自体が大きな学びなのだと思います。EちゃんとMちゃんは新しい環境にきたばかりのTちゃんに、もしかしたら過去の自分を重ね合わせ、その姿に「共鳴」し、「仲間意識」が直感的に芽生えたのかと思います。クラスが取り払われ、「仲間」という概念が広がったため、お互い同士が繋がるアクセスがよくなったのだと思います。

 

お互いへのアクセスがよくなったため、日常を一緒に過ごしているもの同士、ぶつかり合いは必然的に起こります。言葉で説明できない子たちは手を出して抗議したり、言葉で説明できる子たちは自分たちの気持ちを整理することを試みています。涙を流すことや、手が出てしまったり、相手を傷つけようとすることももちろんあります。保育者として気をつけていることは、子どもたちの学びを奪わないということと同時に、子どもたちが理解できる言語や他のアクティビティで、相手の気持ちに対する子どもたちの想像力へ働きかける事だと思います。

 

保育園というたくさんの子どもたちが共鳴し合う場所は生き物かのように呼吸をし続け常に変容し続けます。どうか皆様引き続き暖かい目で見守っていただけるとありがたいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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