やまのこ保育園

惑星のようす

"保育者の「混ざりあい」が生む変化           "

2020.07.18
保育者の「混ざりあい」が生む変化           

Text : Takuto Kashiwagi

コロナ対策期間中、保護者の皆様方のおかげで、平常よりも少人数の保育者で、子どもたちを保育することができました。その状況の中、クラスを越えた関わり合いが生まれたのは、子ども達だけではありませんでした。保育者同士でも、これまで関わりが少なかった、異なるクラスの担当者と共に保育する機会が生まれたのです。

保育者が混ざり合うことで、次の4点の特徴が生まれてきているように私は感じます。

 

1.保育者は、ひとりの子どもの様々な面を知れる

保育の現場で、保育者は子どもと関わりながらその子どもとの関係性を構築していきます。子ども達と関わる時には、その子どもの特徴や、クラス担当の他の保育者がどの様な関わりをしているか等を考慮して関わりますが、長期的な関係性という点では、やはりその保育者が持つ性格や考え方・感じ方が大きく作用してきます。子どもも、それぞれの保育者を知っていますから、それぞれに見せる側面や態度は異なることがあります。極端に言えば、例えばクラスの保育者が2人であれば、その子どもの2つの側面が見れるということになります。
その点で、ひとりの子どもに関わる大人が増えるほど、その子どもの様々な側面を見ることができるようになります。ひとりの子どもを包括的に知ることを願っている私たち保育者にとって、その変化は喜ばしいものです。

 

2.保育者は、子どもとの関わり方の幅が広がる

特定の子どもに限らず、ある保育者の関わり方を見ることで、私たちは常に自分の関わり方を変化させていくことができます。関わり方の「正解」が無い保育の世界では、多様な関わり方に触れることが、自分の学びに繋がる一番の方法です。

 

3.子どもは、知っている世界が広がる

1で述べた様に、多様な大人と接することで、子どもは自分の世界を広げていくことができます。新しい人との出会いで、新たな世界に気づいたり、新たな自分に気づいたりすることができるのは、大人でも子どもでも変わりのない事実だと思います。

 

4.保育園に、新しい文化が生まれる

保育は、チームプレーです。その場を共に見ている保育者とコミュニケーションを取りながら、(多くの場合は非言語で察しながら)その場にいる子ども達と大人達にとって最良の判断を模索します。したがって、保育者の構成が違えば、同じ状況でも異なる判断を取りうるし、それによって子ども達の経験も変わってくるのです。

クラス担当が固定していると、大人と子どもの関係も、大人と大人の関係も、知らず知らずのうちに固定化してきます。保育者構成を変えると、振り返りの仕方も変わりますし、視点の混ざり合いも生まれます。「あれ良かったよね」「あそこ難しかったね」という会話が、これまでに接することのなかった視点で交わされていきます。そこで共有された価値観を踏まえて、それぞれの保育者が動くことで、園全体としての風通しも変わっているように感じるのです。新しいチームが生まれることが、新しい文化を創り出す出発点になり、保育園全体のあり方に影響を与えていくように、予感しています。

 

以上、「まぜこぜグループ」の実施によって、保育者の観点からどのような変化が生まれてくるかを述べてみました。ここで述べた点を深めていくことで、私たち保育者自身が固まった関係に飽き飽きせず、ゆとりと発見と遊び心を持って保育に臨むシステムを創り出すことも、私たちの大切な仕事だと考えています。

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