やまのこ保育園

惑星のようす

"アトリエから:コントロールしにくい未知なるものとの出会い"

2019.12.01
アトリエから:コントロールしにくい未知なるものとの出会い

Text : Tomoko Nagao

天気の都合で散歩に出られなかったある日、0-1 歳の子どもたちと室内で絵の具や片栗粉で遊びました。大きなロール紙を子どもたちと床に敷き、その上に紅葉した落ち葉を並べ、上から絵の具を垂らす。絵の具と紙、絵の具と指、絵の具と落ち葉が出会い、その後、そこに片栗粉も加わりました。

散歩に出れば光・風・気温・匂い・土・植物などの自然環境や、車・電柱・信号機等の人工物など、実に様々なものと五感を通して出会います。「自然環境は、保育者の側のねらいに回収できない多様な出会いを可能にする。(中略)自然や他の動物は、人間の制御可能性を超えて存在する」(山本一成著『保育実践へのエコロジカル・アプロ-チ』p215)と述べられるように、屋外では、例えば天気など、人が制御(コントロール)することのできない自然界との出会いが増えることは言うまでもありません。

この日、いつもなら散歩をしている時間。都合により屋外に行けなくても、散歩のように屋内でも容易に制御しきれないものとの出会いがある時間を子どもと過ごせたらと考えました。そこで人工物ではありますが、紙と絵の具と片栗粉を手に子ども
たちとのセッションを開始しました。
全身を使って広げたロール紙が、手を離すとくるんとすぐ元に戻ってしまうことに出会う姿。片栗粉がついた手をパンパンと
打ち付けることで粉がふわっと舞って手から白い粉が消えていくことを発見した姿。ズボンについた絵の具を取り除きたくて、指で拭ったらもっと広がってしまったことを目撃する姿。手についた絵の具に離れてほしくて、手をぶんぶん振るも、ぺっとりくっついて全く絵の具が手から離れないので泣き出す姿。
いくつかの簡単に制御できないものとの出会いを経験した子どもたちは、制御してみようと身体の使い方を変えたり、コント
ロールできない事実を五感で経験し立ち現れてくる感情にも出会っている姿が見られました。

絵の具を絵を描くものとして、片栗粉を料理のエッセンスとして紹介するのではなく、色がついたトロリと粘り気のある身体
からなかなか離れないものとして、さらさらした細かな粒子で叩くと舞い上がる白い粉として、つまり、子ども自身が十分に「感じた事実」と共に出会うこと。これを 0-1 歳児の暮らしでは大切にしたいと感じました。

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