2019.03.05
地球歴の年間カレンダー
Text : Aya Endo
「地球暦」というカレンダーをご存知でしょうか。
杉山開知さんという方が考案され、地球規模で時を捉えることができるようにと開発されたもので、春分から始まる円の一周で一年を表す暦です。
保育園の年間計画を立てる上で、保育園で流れている時間がどんなものでありたいかをまず考えました。やまのこで流れている時間は、現代の大人たちが過ごしている時間の流れ方とはちょっと違って、季節の移り変わりや環となって営まれる自然の大きな流れ、そんな感覚を感じられるようなものであってほしい。そうした感覚 が人格の基礎を育む乳幼児期にとって特に大切ではないかと考えました。そんなことを話していたら、ぴったりなカレンダーがある、とスタッフが自宅で使っていた「地球暦」を勧めてくれたことがきっかけでした。
そんなことで、2月2日(土)と2月28 日(木)の2日間、地球暦を使った2019年度年間計画についてワークショップ形式で話し合うことになりました。
最初に、子どもたちとやまのこ保育園とが共に育まれていくために必要な枠組みを 検討し、今年度は下記の4つに整理しました。
1. 大人の学び ― 保育者 / 保護者の学び
2. 家事 ― 大掃除やカーテンの洗濯、衣替えのような生活を支える仕事
3. 庭 ― 子どもたちと共に育つ庭をつくる仕事
4. 催し ― 誕生日会、季節の行事やお泊まり会など
この 4 つのレイヤーが重なりによって、一年の園生活を表現しようと考えたのです。
まず、よいカリキュラムがあったとしても、それだけではなんの意味もありません。そこに関わる大人の学び続ける姿勢とそれを保つための健康な環境があってはじめて、活かされていきます。そのため、クオリティーの根幹を担う「大人の学び」を最も軸に近い位置に配置しました。これには、保育者のための研修や合宿などの機会に加えて、保護者向けのペアレンティングクラス、保育参加などもこの中に入ります。
次に場を成り立たせるための「家事」があり、その次に今年度みんなでエネルギーを傾けていくべき庭づくりが配置されます。そして、最後のレイヤーに、子どもたちの学びの機会となる「催し」が配置されています。催しは、大人にとってはそのための準備が、子どもにとっては楽しみにする気持ちがあり、保育園全体のエネルギーの結び目となっていきます。このエネルギーが次につながっていくように、また日常の流れるような時間を阻害しないようなバランスをとっていくことが大切です。
いざ、計画をたてていく過程でどんなことが起きたかというと、「催し」は保育者の子どもたちへの想いが溢れすぎて、どんどんボリュームが増えていきました。お泊り保育や山登り、お弁当をもってでかけたい …。「庭」についても同じように、やりたいことが溢れていきます。土壌改良、雨水タンク、鶏も飼いたい …。
ふと我に返り、保育園全体の健康度を考えるとかなりの負荷がかかる。でも、いましかない子どもたちとの時間にエネルギーを注ぎたい。この 2 つの気持ちが天秤にかけられて、悩むことになりました。次に、付箋に書き込んだやりたいことを、円形カレンダーに落とし込んでいきました。その中で、季節によって負荷の強弱があることもわかり、削ぎ落とすべきポイントを議論し、なんとかまとめあげることができました。
季節との結びつきが深い様々な仕事が、環 (circle)となって営まれる場を計画する方法としてどのようなものがふさわしいのか、これからも試行錯誤していきたいと思います。