2019.10.09
高く、高く
Text : Ayumi Ohno
カプラを積み始めたAちゃん。そーっとそーっと慎重に、どんどん高く積み上げていきます。「すごいね、すごいね」とKちゃんが隣でぴょんぴょんと跳ねています。それでもまだまだ積み続けます。「Aちゃんよりおおきい?」と並んでみては、「もう少しかな?」と手を伸ばし積んでいきました。高くなったカプラタワーの行方をみんなが少し興奮しながら見守っています。Aちゃんは誇らしげな表情。手が届かないところまで行くと、「もうすぐAさんぐらいになりそう」とSちゃんがいいました。皆、どこまで積むんだろうと気持ちを膨らませて見つめていました。Aちゃんはほんの少しタワーを眺めた後、タワーのてっぺんに手を伸ばし、今度は1つずつ、カプラを取って箱に戻し始めました。「Aちゃんなんで壊しちゃうの?」とMちゃん。Aちゃんは少し考えた後「壊されちゃうのがいやだから」と静かに答えました。
高く積み上げて嬉しい!という単体の気持ちだけでなく、その先に大事に作ったものをいつか誰かに壊されて悲しい思いをしたくないという、すごく繊細な気持ちがあるのだと感じました。その反面、壊れてもいいからさらに積み続けてみようと挑戦する気持ちに怖さを感じているようにも受け取ることができ、もっとやってみたらどうなるのか、どこまでいけるのか限界をみてみる、超えてみるという魅力を伝えることができませんでした。子どもたちに日頃、どうなるのかな?どうしたらいいのかな?とその先を考えることを促す声かけを多くしていますが、結果を考えないから、まっすぐと挑戦していけることもあると感じ、どうなるか考えることを促すべきなのか、問いが生まれた出来事でした。