2021.05.01
Graduation
Text : Chihiro Taniguchi
2020年度巣立っていったのは8名の個性溢れるメンバーでした。
最終年度を振り返ると、キャンプでの山登りと川遊び、月山登山、アイススケートなど、この一年で様々なことにチャレンジしてきました。背景には、この子たちなら乗り越えていける!と確信を持ってきたという保育者の見取りがあり、最後のプロジェクトもこれまでの集大成として、子どもたち自身が8人で一緒にやりたいことをやり遂げてもらいたいな、というねらいを保育者はこっそり持っていました。
また、構想を練っていたのと同時期に子どもたち自身が、自分たちの置かれている環境への不満を口にしたり、それらの不満をきっかけに一揆を起こしたりしていました(詳細はこちらの記事)。そのやりとりの中で、大人だけ自由でずるい!自分たちでお金を稼いで好きなものを食べたい!などというような具体的な願望が次々と発せられるようになったのです。これらの姿から、この子たちは社会との繋がりを求めているような、自分たちの力で何かをやり遂げたいような、そんなサインを発信しているような気がしました。
私たち大人側の目論みと、子どもたちのアクションが重なり、8人は最後のチャレンジを自分たちのお店を作る!売り上げでイスキアのピザを食べる!に決めました(プロジェクトの詳細はこちらの記事をご覧ください)。
巣立ちまでの最後の一週間、8人は大きな感情の渦の中にいるように見えました。
自信に満ち溢れた姿、慣れ親しんだ場所を離れることへの不安をのぞかせる姿、別れへの感情が涙として溢れる姿、どの子も大人へのスキンシップを求める姿は顕著でした。それぞれの言葉にならない感情を丁寧に受け止めたいと努めた一週間でした。
3月31日
いつもとは違った装いで登園してきた8人。少しばかり緊張している様子もありましたが、約一時間のセレモニーの中でたくさんのギフトと笑顔に包まれて、みんなに惜しまれながらもエネルギーに満ち溢れた表情で巣立っていきました。
そして、やまのこのゲートを出たらいよいよピザの時間。8人で遊び親しんだくねくね山へ向かい、ピザの到着を待ちます。前日に行われたやまのこ商店街で集まった資金で念願のピザを2枚購入することができたのでした!自分たちが発案したことが具体的に変化し、達成したいことが実現されたこの経験は彼らの中で大きな自信となってくれることを願います。
さて、あけびのコミュニティの中で大きな影響力をもたらしていた年長児8人が巣立った後のクラスの様子は…
何をして遊ぶか決まらない。楽しいことが見つからない。手持ち無沙汰な時間が出てくる、など困惑する姿もありましたが、徐々に自分たちで何か楽しいことを見つけ出そうとする姿も現われてきました。
試行錯誤しながら自分たちの力で自分たちの場所を再構築していくような、そんな蠢きが見え始めたな4月となりました。今年度はどんな一年になるのかワクワクしています。
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