2022.06.19
卒園式とそこに至るまでの日々(とこれから)
Text : Saeko Imai
まだ冬の寒さが残る3月31日にからっぽさんたち(卒園児11名の通称*)を送り出すための卒園式が行われました。
*「からっぽチーム」の由来については次の記事をご覧ください。
「たべものと出会う」
コロナのための休園が続いたため、3月に計画していたイベントがキャンセルを余儀なくされましたが、残されたやまのこでの卒園式までの日々は楽しく輝かしいものでした。
好きな歌をみんなに披露する「カラオケ大会」をしたり、家からビニールプールを持ってきて「プールの日」を実施したりしました。「何やりたい?」の問いに対して、自分たちのやりたいことと実現するまでの工程のイメージを仲間たちに共有することによって、子どもたちは難しさを感じつつも満たされたようでした。また、卒園前最後の遠足はあつみ温泉に電車で向かい、温海岳の麓まで歩き、その後お饅頭を買って足湯につかりました。自分たちで考え、自分たちで決めたことをする過程で子どもたちはさまざまな表情を見せてくれました。悩む顔、共に考える顔、達成感に満たされた顔。子どもたちだけではなく携わった保育者の心にも残る日々でした。
卒園式当日はあいにくの雨でしたが、みんな普段よりおしゃれをしてその日を迎えました。前日にはスタッフが遅くまで残り、野花で部屋を飾り、長年過ごした仲間たちの門出をどうベストに迎えられるかを考えました。式では普段とは違う空気感が流れていたため、子どもたちは少し緊張していましたが、今まで共に歩み続けた仲間たちや保護者の方たち、そして他の園児たちと一緒に過ごす時間は特別でした。
卒園式をなぜするのか?と自分自身で考えましたが、素晴らしい時間を共有した仲間たち(保護者の方含める)とその時間に敬意を払い、卒園していく子どもたちの幸せを祈願し、これからもよろしくねの気持ちを意識する、ということだと思いました。たくさんのありがとうがその日に交わされて、11人の子どもたちはやまのこ保育園から卒園していきました。今みんな何しているのかな〜。
卒園式から2ヶ月たった今ですが、卒園児家族と保育者で休日に海や公園で遊んだり、保育者が小学校の様子を見に行ったりなど、関係性は強く深いものです。やまのこで保育園生活後の関係性の持続もすごく大切だと気付かされたのは2020年度卒園生のIくんの言葉でした。からっぽ(2021年度卒園生)の子達が卒園までに「夜までやまのこにいたい!」という気持ちから夜まで保育を実施した時に、みんなで夕方お散歩に行きました。ちょうどその時、妹のYちゃんのお迎えに同伴していたIくんは、お散歩に出かける私たちをみて「俺も行きたい!」と言い一緒に探検に出かけました。そして、30分ほど暗闇の中を一緒に懐中電灯を持ちながら探検しました。終わった後、キラキラした笑顔で「みんなありがとう。またね!」と言ってお家に帰りました。その後日、Iくんのお母さんに伺うと、Iくんは「俺ビデオゲーム大好きだけど、あれ(昨日のお散歩)は百億倍楽しかったな」と言っていたそうです。その言葉は私たちのコミュニティとしての持続性がいかに子どもたちのウェルビーイングに繋がっているのか教えてくれました。