2018.08.04
研修レポート
探求する身体、探求する心
Text : Tomoko Nagao
8月4日土曜日に、幼児教育をはじめとする様々な学びの場の監修やデザインを手がける伊藤史子さんを園にお招きし、やまのこスタッフ研修を行いました。テーマは「探求する」ということを保育者自身が経験し、理解すること。
最初のレクチャーでは、オランダでデザインを学び、その後イタリアのレッジョ・エミリア市の幼児教育現場でアトリエリスタとして活躍された経験を通して伊藤さんが紡いでこられた、教育とアートの関わりや、探求についての考えをお話いただきました。オランダの教育現場では「個々人のアイデアが国の資源」とされていること、レッジョ・エミリア市では「0歳児から社会人(市民)であり、社会や文化をつくっていく存在として捉えられている」ということ。
様々なお話から、やまのこ保育園も、0歳から大人まで、ひとりひとりがアイデアを持ち、それが資源となって社会を作っていく、そんな「自分に価値があると思えて、且つ、自分の持っているものが社会で大切な役割があると思える」ような共同体になっていくことを目指したいと思いました。
その後のワークショップでは「水」をテーマに、日常の馴染みある素材を用いて「手で考える」経験をしました。水を描いてみる・水の世界を写真で切り取る・言葉を書き出してみる・水の世界を構築してみる。水について、プラスチック素材、自然素材、積み木などの遊具、絵の具や布など、いろいろな素材を使って、複数の角度から探求しました。
頭だけでなく手を動かしながら考える。保育者が、予定調和ではなく、素材との出会いや、その場での自己や他者、環境とのコミュニケーションによって生まれた感覚に柔軟に応じながら、自分なりの表現やアイデアを差し出しあうことを経験しました。壁一面にみんなの思考の軌跡がドキュメントされ、互いの表現に学びあう、保育者間の協働的な学びも生まれていたように思います。