やまのこ保育園

惑星のようす

"はじめの一歩。素材と出会う"

2018.09.26
はじめの一歩。素材と出会う

Text : Tomoko Nagao

開園に合わせてあけび組に素材棚ができました。やまのこ保育園全体を「アトリエ」と捉え、興味関心に応じて子どもたちがそれぞれに探求し、自分なりの考えを紡ぎ、アイデアを生み出していく場に育てたい、という願いから始めた取組みのひとつで、素材棚の設置は、はじめの一歩 です。

 

棚には紙素材・針金・色チップ・プラスチック素材・固形絵具・クレヨン・ボンドなどが入っています。最初のテーマは「引越し」。開園に伴う購入物品の納品時に出た大量の梱包材から切り出しました。クリエイティブリユース*という考え方がありますが、通常はゴミとされるものが材料・素材(廃材)に変身する瞬間です。梱包材が「包むもの」「縛るもの」という用途から解放され、プチプチ素材なら同じテクスチャーが連続するもの・向こう側が透けて見える素材に、結束バンドは手で裂けるもの・何かと何かを接続する素材に変身しました。

 

 

今、子どもたちには、何かをつくってほしいとは考えていません。材料を手にして、その素材と出会ってほしい、と強く願っています。素材と出会うこと=素材の特徴に気づくこと=相手の特徴に出会うこと。出会った相手(素材)の特徴に応じて、「よし、重ねて貼ってみよう」とか「これに穴を開けてこことくっつけよう」とか、自分なりのリ・アクションをとってみてほしいなと思います。アトリエというと、何かオリジナリティー溢れる独創的な表現をうみだす場のように思われがちですが、まずは、アクションではなくリ・アクション。素材から「引き出されるアクション」に注目して、子どもたちがどんなリアクションをしてくるのか、どんな表現をしてくるのかを楽しみにしています。

 

 

素材へのリアクションは日々変化をしています。それが彼・彼女のアイデアの変化の軌跡であり、表現なのだと思います。これから始まる探求のためにも、まずは素材と対話をし、素材と呼応関係にある状態をつくった1ヶ月でした。

 

 

*クリエイティブリユース:大月ヒロ子氏が提唱する考え方で、見捨てられているモノを観察し、想像力と創造力によって再び循環させること。既に身の回りにあるモノに工夫を加えて活用すること。

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