やまのこ保育園

惑星のようす

"「紙」の探求"

2018.06.15
「紙」の探求

Text : Tomoko Nagao

職員がコピー機でプリントアウトをしていた。1枚出てくるごとに、コピー機から職員のところに運ぶ遊びをはじめたこどもたち。調子が出てきて少し雑になってきたので、「紙が折れちゃうから丁寧に運んでね」とお願い。すると「折れたらどうなるのー?」と子どもたち。
そうか。どうなるかやってみよう。

印刷ミスの裏紙を貰う。そして折ってみて、と渡す。折り始めたものの、「どうやるの?どうやって折るの?」と子どもたち。折るのは少しむずかしかったらしい。折るのをやめて、いろんな紙の音を聞いてみることにした。
縦に丸めて棒にして机をたたけばポンポン。くしゃくしゃに丸めたらクシャクシャ。紙を垂らして指先で弾けばパンパン。
くしゃくしゃにしたついでに、ぎゅっと握ってSくんがおにぎりをつくった。ごまおにぎり。誰が一番小さくなるかな、と見せ合いながらぎゅっぎゅと握り、くしゃくしゃボールに。

次は広げてみた。ゆっくり破れないように丁寧に。
「シワシワだねえ」「くしゃくしゃだねえ」
「わあ、しわがたくさんだねえ」
「紙がおばあさんになっちゃったねえ」
「なんでおばあさんなの?」
「だって皺がたくさんだから。年取ると皺が増えるんだよ」
「みんなの体にもシワあるよ、ほら、おててにシワあるよねえ」と手相を見せ合う。

前後して、目の前に塗り絵をしていた子が広げた色鉛筆があったので、シワの線をなぞってみた。長い皺、短い皺。Yちゃんが紙を両手で引っ張って音を出し始めた。
くしゃくしゃ。パンパン。
私はYちゃんのマネをしたり、反復したり、しばらく紙で会話した。紙でのセッションだった。

そのあと、Sくんが頭にくしゃくしゃの紙を広げたものを被って部屋に入ってきた。
Sくんの紙は随分シワシワで、頭の形に添ってヘルメットみたいになっていた。
「いいねえ」と私もまねっこ。
頭に載せたまま、落ちないように。しゃがんだり、立ったり、一回りしたり、すり足で歩いたり、ジャンプしたり。そこにいるみんながそれぞれ紙を頭にのせて動き出す。

 

 

気付けばYちゃんはクレパスを取り出して、広げた紙に色づけを始めていた。皺を感じながら塗っている感じが美しかった。その後、紙の皺にそっているのか、そっていないのかはわからないけれど、ハサミで細かく切っていた。
その後、お散歩へ。紙のボールを持って行き、公園でなげて遊んだ。

 

 

後日談>1週間後、Sくんがくしゃくしゃした紙を大量に持ってきて、それをひとつずつもらってみんなで色付け。Yちゃんのように、クレパスを使ったら、いい色合いのシワシワ作品ができました。

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