やまのこ保育園

惑星のようす

"離乳食から語るやまのこごはん(スペシャルディスカッション)"

2024.05.01
離乳食から語るやまのこごはん(スペシャルディスカッション)

Talk: Natsumi Konno, Asako Sugano, Shizuko Miura, Airi Yukiyoshi, Chikako Onodera
Edit: Asako Sugano

メンバー紹介

Natsumi:調理スタッフ/5歳息子、2歳息子が在園

Asako:やまのこ保育園保育者/入社の決め手はやまのこごはん

Shizuko:やまのこ保育園home保育者(看護師)/保育園創設メンバー

Airi:やまのこ保育園事務スタッフ、保育補助/1歳娘が在園

Chikako:やまのこ保育園home保育者/入社2年目に調理から保育者に転向

※この記事は2024年2月に行った座談会を書き起こし編集したものです。

 

わたしとやまのこごはん

Asako:今日はやまのこごはんの魅力と、その魅力を支える考えや日々の試行錯誤について調理、保育、保護者の視点からざっくばらんに語りたいと思います!今回の企画者のなつみさんから、このディスカッションに込めた思いをお聞きしてもいいですか?

Natsumi:子どもたちと日々過ごしているやまのこの大人たちの、大事にしていることやこどもとのエピソードを保護者の方に共有したいと思いました。家庭での食事やこどもとどういう風に関わるとよいか悩んでいると保護者の方から聞くこともあって。こうしてシェアすることで何か気づきを得られたり、家庭での食事のヒントになったらよいなと思っています。

やまのこご飯を好きでいてくれるあさこさんのファシリテートの元、座談会形式でざっくばらんにお話しできたらいいなと、今回企画しました。

 

Asako:ということで今日はやまのこごはん大好き、私がファシリテーターを勤めさせていただきます。

まずは、自己紹介を兼ねてみなさんにとってのやまのこでの食、というテーマで、それぞれの思いをお聞きしたいです。

好きなお昼ご飯のメニューについてでもいいですし、「くらし」を大切にしているやまのこでは普段の生活でもいろんな食との出会いがありますよね。そういったことの中で思い入れのあるものなどもあればぜひ。

Natsumi:甘酒美味しいですよね~。昨日も子どもたちが「あまざけつくりたい~!」と言って作って飲んでいました。

水と麹だけの材料であんなに甘くて美味しいっていうのが本当にすごいなと改めて思って。 発酵食品を取り入れるのを日々の園でのご飯作りで大事にしていますが、甘酒も発酵食品なのでこれからも子どもたちにとって身近な存在でいてくれたらいいなと思います。

Asako:甘酒作り、いまの時期(※座談会時は2月)ならではの風景ですね。

私は初めてやまのこ保育園に見学に来た時に食べたお昼ご飯のすき昆布がおいしくて感動しました。さつまいもが入っているすき昆布ってその時初めて食べたんですけど、 お出汁がきいていて、旨みと甘みのハーモニー という感じですごく美味しくて。最初のやまのこご飯との出会い、思い出深いです。今も大好きなメニューです!

Natsumi:子どもたちも昆布よく食べますよね~。

 

Airi:私はやまのこで働き始めて2ヶ月目ぐらいで初めて味噌作りに参加したのが思い出深いです。やまのこではお昼ご飯用の味噌もみんなで仕込むんですが、その時は参加者それぞれの家庭用の味噌を作ろうという日で、私は本当に初めての体験でした。色んな菌が入った方が美味しくなるぞ~と言いながら子どもも大人もみんなで味噌だねをこねていたのがすごい印象的で。数ヶ月熟成して秋に自宅で久しぶりに味噌を開けたらカビとか生えててびっくり(笑)

でも大丈夫だよって教えてもらって自分で作った味噌を初めて食べました。そのおいしさにまたびっくり!みんなで作った味噌を1年間毎日のお昼ご飯で食べるって感動ですよね。自分たちで作って自分たちで食べるっていいなあと思って。

自分の価値観も変わりました。毎年自分の家でも味噌を作るようになりました。

最近のメニューで好きなのは、肉味噌をじゃがいもと厚揚げの上にかけてるやつです。すごく美味しかったので家でも作っています。妹にも子どもがいるので共有したりして(笑)

Asako:やまのこご飯がお家の新定番メニューになっているんですね~!

Chikako:私も最初味噌汁にすごく感激しました!出汁の味もそうですけどやっぱり味噌そのものの味が今まで飲んできた味噌汁とは違う。あと、去年から保育園で畑を借りていて、そこで取れた野菜をご飯の調理で使った時に感じたのは、みんなで作った野菜、やっぱり美味しいよね !ということですね。食べる前から絶対美味しいってわかってるけど!食べたらやっぱり美味しい!みたいな!(笑)あそこで取れた野菜だ、と目に見える安心感もとても大きかったです。

Shizuko:最近ちかこさんが子どもたちと野菜を蒸して食べたいね、と提案してくれたことがありましたね。蒸した野菜が美味しくて。味が濃く感じました。蒸している最中も部屋の中に野菜の香りが広がっていて、直接調理しているところを見ていない子どもも香りを感じていただろうなぁと思うし、一緒に食べた時もあったかいのがまだ残っててすごく素材の味がしっかり感じられて良かったなぁ。やまのこは食べ物の素材を大事にしていますよね。 どこで作られたかとか、みんなわかるんじゃないですか。 自分が食べるものが、どこからどのようにして来ているかを知って食べることができるのは安心できるな~といつも思ってます 。

 

離乳食は「食べる」との出会い

Asako:皆さんのお話、とても興味深いです!ここまでやまのこで過ごす中での食という存在 みたいなところをお話しいただきました。ここからは「食べる」との出会いとも言える離乳食(何ヶ月~1歳頃)に焦点を当てて、深掘りしていけたらと思います。

今日の離乳食のメニューをなつみさんから紹介してもらえますか ?

Natsumi:野菜のスティック、スープ、ご飯です。野菜スティックは根菜類でつかみ食べしやすいものを準備しています。

今日はかぶ、にんじん、じゃがいも、玉ねぎでした。大きめに切って柔らかく煮てあります。スープは出汁で野菜を煮たものです。素材の味が感じられるように1歳頃までは調味料で味付けはしません。幼児食に近づくと味噌を少量入れます。月齢やその子の離乳食の進み具合によって、野菜の切り方を変えたり、食べやすい食材を選ぶようにしています。

Asako:検食で時々離乳食のスープ飲むんですけど、野菜の甘味がしっかり感じられて出汁だけで美味しいですよね。

ご飯の柔らかさはどうですか?何倍粥のレパートリーがありますか?

Natsumi:ご飯の柔らかさは年齢や食べ具合によって変えていて 、今は4種類。 2倍がゆ、5倍がゆ、軟飯と普通の硬さのご飯。

Shizuko:月齢が上がるにつれて、食べる量も増えて、咀嚼もできるようになってくるので、それに合わせて水分の量を調節していく感じですね。何種類も作り分けるのは大変だけど、その子によって合わせています。

Asako:ご飯の柔らかさを変えるタイミングはどうやって決めていますか?

Shizuko:保育園での食べ進み具合もありますが、お家での食べ具合も聞いていますね。例えばお家ではもう大人と一緒に普通のご飯を食べていると聞いたら、保育園でもそろそろいいかなと判断します。2~3ヶ月とか半年で食べ方が変わってくるので、お家と極端に違わないように、というのは気にかけて保護者の方に聞くようにしています。

 

Asako:お家の食事との連携、大切ですね。オーダーメイドとも言える一人一人に合わせた離乳食、大人はどんな風に準備して、子どもたちはどんなふうに食べてますか?

Shizuko:大人はつい時計を見てしまうけれど、だいたい子どもたちの表情を見て「お腹すいた時間かな?」「そろそろごはん食べようか~」と声をかけながらご飯の支度を始めます。一緒に手を洗いに行って、歩ける人は自分でエプロンを取りに行ったり。みんな席に着いた頃に、それぞれ食べるものが違うので保育者が名前と食べるものを確認して、お皿に盛って用意します。

今日はUちゃんが、初めてミルクの前にごはんを食べました!先週までは、落ち着いて食べ始められるようにミルクでお腹をいっぱいにしてから離乳食を食べるようにしていたんですが、最近お家でもしっかりごはんを食べられるようになってきたと聞いたので、じゃあ保育園でもご飯から食べてみようか、という感じで。初めに大好きなにんじんに手をのばして、ご飯を食べて、お椀を自分で掴もうとしてスープを2回こぼしました。そのうちに眠そうにしたので、「ミルク飲みたいかな~?」と聞くと手を伸ばしたので、Uちゃんはミルクを飲みながら眠りました(笑)

一同:微笑む

Shizuko:Tちゃん(あいりさんの娘さん)は豆腐が大好きで、豆腐がなくなると指をさして「ん、ん」と教えてくれますね。

Airi:うんうん、家でも食べたいものを指差します(笑)

Asako:豆腐を私に持ってきてと教えてくれるんですね。

Baby-Led Weaning(以下BLW)を通して赤ちゃんが自分で食べるちからを育みたい

Shizuko:子どもたちの食べ方は、子どもたちが手掴みで自分で食べています。基本的には保育者が子どもの口にスプーンでアーンはしていなくて。ポイしたら食べたくないのサインかな、たくさんポイするようだったら「ご馳走様しようか?」と声をかけて、お茶を飲んで、手を拭いて、顔を拭いて、おしまいにします。

一般的に離乳食は大人が子どもの口に運んであげることが多いんじゃないかなと思います。やまのこ保育園homeも開園当初は保育者が介助して食べさせていました。食べる子は食べますけれど、なかなか口に入れてくれない子もいて。スプーンが嫌なのかな~とか、色々理由はあるんだろうと思うんですけど、何でだろう?どうしたらいいかな?と悩む時期がありました。

そんな時に出会ったのがBLWで、0歳児から自分で食べるやり方があるんだ!と初めて知って、学んで、取り入れ始めました。

今でも保育者がご飯をスプーンで集めて勧めることもありますが、やっぱり子どもは自分で食べたかったら食べるし、食べたくなかったら大人が口に持っていってもポーイする(笑)。基本的には子どもが自分で食べ始めて、終わりも自分で決める、というのを大事にしています。

 

※BLWはBaby-Led Weaning(ベイビー・レッド・ウィーニング)の略でイギリスの保健師であり助産師でもあるGillRapley氏によって提唱されました。

赤ちゃんが自分で食べる順番や量、ペースを決めて自分で食べる。Baby-Led Weaningは赤ちゃんの食べる意欲を引き出す、赤ちゃん主導の離乳食の進め方です。(日本BLW教会HPより)

詳しく知りたい方はこちら: https://babyledweaning.or.jp/

 

Shizuko:私も子育てしてきて、自分の子どもが小さい頃は私がスプーンで食べさせていたので、保育する中でも何の抵抗もなくそういうものだと思ってやっていたんですが、保育者の中で大人が食べさせるっていうことに疑問を持つ人もいて、そういう人の問いかけもあって、考えるようになりましたね。大人が食べさせていて子どもが食べてくれないと、どうしても大人の焦りが出てきてしまって、もっと食べさせなきゃいけないんじゃないか、みたいになってしまうんですよね、どういうわけか。

でもBLWと出会ってから、子どもが食べることを大人が過剰にリードしなくても、子ども自身が自分で選ぶことができるということや、食べなかった分の栄養はミルクなどその時の食事以外で補うこともできることを学び、気持ちの面でも変化がありました。1歳以上の子どもに対しては、ちょっと手伝いすぎちゃっていたかなと思ったり。

Asako:当時保育者と調理メンバーでどんなディスカッションが行われたのか、想像しながら聞いていました。BLWもやり方の1つであって、必ずしもそれで全て上手くいくということでもないですよね。

Shizuko:本当にそうですね。だから絶対BLWがいいとか、お家でもこのやり方でやってくださいとは言えないですね。

Asako:正解がない、やり方は1つではないというのは子どもとの関わり方全てにおいて言えることですね。それでもしずこさんがBLWを大事にしているのはなぜですか?

Shizuko:食事って生まれた時から死ぬまでついてくることですよね。自分で選んで自分で食べる、ということが色んなことに繋がっていくんじゃないか、ということに気付かされたんです。例えば、口を開けていれば食べ物が自動的に入ってくるだけだと、自分の気持ちが育っていかないんじゃないか、とか。自分で目の前の食べ物を感じて、これなんだろう?おいしいのかな?って思うのを大事にしてほしいな、そういう気持ちを育てていってほしいなと思います。

Asako:子どもたちがお皿をしばらく見つめる姿や、これ食べてみようかな?触ってみようかな?やっぱりやめようかな?と掴んだり離したりする姿は、まさに日々やまのこで起きている食事の風景ですね。

Shizuko:あと、例えばベビーフードのような色んな野菜がすりつぶされて混ざったものだと、どの野菜がどの味なのか子どもには分からないけれど、蒸した野菜スティックだったら、ニンジンをかじればニンジンの味がするし、カブを食べればカブの味がする。まだ名前はわからなくても、次にニンジンを触った時に、これは前にも食べたことがあるぞ、と分かることは大切な感覚かなと思いますね。

 

食べ遊び、大人は困る、子どもの視点は・・・?

Asako:さて、子どもが自分の意思で自由に食べるという姿からは、ご飯を投げるなど、いわゆる遊び食べを連想する方も多いと思います。特に1~2歳児は多いですよね。

Chikako:私は調理師としてやまのこに入ってごはんを作っていた日々から、保育者として子どもと関わるようになって、遊び食べの見方が最近変わりました。

Asako:きっかけになったエピソードがありそうですね!ぜひ教えてください。

Chikako:Nちゃんとお散歩に出かけた時に、Nちゃんが座り込んで一生懸命砂利石を手にとって1つずつポイ、ポイ、と投げる遊びをしていたんですね。その時は、あ、石を掴んで投げているなとありのまま観察していたんです。お散歩から帰ってきてご飯を食べ始めたら、Nちゃんがご飯を手に取ってポイッポイッと投げているんです。あれ、これどっかで見たことあるぞ!?と思って(笑)さっき石を投げて遊んでいたなと思い出したんです。そこで、あぁ、Nちゃんの石を投げる遊び、その興味や手の動きがご飯の時間まで続いているんだなと気づいて納得しました。

Asako:これはけっこうポイポイあるあるなのかもしれないですね(笑)

Chikako:そうですね。今日もTちゃんがお散歩中やはり小石をつかんで側溝に入れるという動きをしていて。集中しているなあと見ていたんですよ。今日のご飯の時、いつも通り食べていると思ったら突然お皿をひっくり返して、中に入っている野菜を全て空にしたと思ったら、落ちた野菜をつまんで1つずつお皿に戻していました(笑)Tちゃんの遊びの延長線上に食事があるんだなと今日も思いました。調理スタッフの時に同じ光景を見たら、遊ばないで食べてほしいなと思っただろうけれど、今保育に入って子どもと一緒にお散歩に行くようになって、遊びの中で得ているものを食事でも得ているんだな、試しているんだなと思うようになりました。

 

野菜の形状、食べやすい形は人それぞれ

Asako:子どもたちが食べている姿から最近感じていること、他にもありますか?

Chikako:一時期子どもたちがあまり野菜を食べない時があって、何でかな~?と思って試しに野菜をスプーンで小さくしたら食べてくれて。野菜の形かもしれないと思ってなつみさんに少し野菜の形を変えてくれませんかと相談したことがありました。

1週間お試しで、スティック状の野菜をサイコロにしてもらったんですが、野菜が小さくなったことで掴みやすくなって食べ進む人もいたし、逆に小さすぎて掴みづらい人もいました。子どもの個性や月齢によって野菜の掴みやすい形や大きさが違うんだな、という発見でしたね。

Asako:食材の大きさや形は、食べやすすぎても咀嚼など養いたい力の習得チャンスを失ってしまうし、だからといって食べづらすぎても、そもそも口に運べないし、絶妙な塩梅がありますよね。

Natsumi:だからこそ日々の観察だなぁと思っていて。ご飯を作る立場の私は常にhomeのこどもたちの食事の様子を見ることはできないので、保育者からフィードバックをもらって、こうだったらいいかなと考えながら調理できるのはありがたいです。

保育園でもお家でも試行錯誤で食事を準備しているのは同じだなと思ってます。参考本にはこのくらいの月齢はこの大きさで、と書いてあるけど、実際はそうとは限らない。その子を見て、どんな風にするかなと、その都度試していくのがいいのかなと思います。

 

やまのこは「シソかわいいね」という感性が育つ環境

Asako:子どもたちが自分で食べ物を掴み、素材を肌で感じる中で食べ物と出会う姿、見ているこちらが元気をもらいますよね。とびっきりの笑顔でお昼ご飯を食べている子どもの写真をよく見ると、頭からつま先まで米粒まみれ!みたいなのもよくありますね(笑)

子どもたちのお家での様子も知りたいなと思うのですが、あいりさんはまさに今娘さんの離乳食が始まったところですよね?

Airi:初めての離乳食が始まったばかりで試行錯誤です!2週間くらいで同じことが通用しなくなるので大変(笑)。

通用しなくなって、また次のステップへ、それがまた次のステップへ、といくので、根気強く、できるだけ楽しい雰囲気で食事ができたらなぁと思っています。

Asako:どんなことを考えながら娘さんの食事と関わっていますか?

Airi:初めてすりつぶしたおかゆをあげた時に、ミルクだけ飲んでいたところから、ミルク以外のものを口にする、その表情からこの子はきっと色んなことを感じながら食べているんだなと思ったのを覚えています。私は娘が生まれる前から自分の手でごはんを楽しそうに食べている子たちをやまのこで日常的に見ていたので、とても影響を受けていますね。

そうやって育ってきたやまのこの4歳、5歳児が、「シソかわいいね」と園庭の紫蘇に話しかけたり、生の春菊を美味しそうにかじったりするのを見ると(笑)、大きくなってそうやって素材とコミュニケーションできるのって素敵だなと思っています。

Asako:先ほどしずこさんが言っていた、自分で選んで、感じて食べるということが色んなことに繋がっていく、ということに通じますね。お家で娘さんはどんなふうに食べていますか?

Airi:基本は掴み食べをしていますね。

Asako:片付けとか大変じゃないですか?

Airi:掴み食べさせているとやっぱり汚れちゃうので、それが一番大変ではあるんですけど、子どもが自分で食べていると、やっぱりよく食べるので、私も作ったものを食べてくれて嬉しいなという気持ちになります。もうこのおかずは食べないのかな、と思っても、違うものを食べてまた気が変わって食べることがあったり。食べなくても少し放っておくと(笑)食べ始めるので、この子のペースがあるんだなぁと気づきましたね。親も子どもに食べさせることだけに集中せずに自分たちのペースで食べようと思ったり。

Shizuko:素敵ですね。BLWの中にも、子どもと一緒に家族も食事をすることが大切だというメッセージがあります。子どもが一番興味を持つのが自分のお母さんやお父さんが食べている姿なんですよね。例えば大人も薄味にして、子どもと同じものを食べながら食卓につけば一緒に食べることができて、それは大人の健康にも繋がる、という観点もあると思います。

ベビーフードのように、赤ちゃんは大人とは別のものを別のタイミングで食べないといけない、という固定観念はまだある気がしますが、もっと気軽に子どもも大人も一緒に食べられるといいなぁと思いますね。コロナが5類に移行してから、やまのこでもまた大人と子どもが一緒に食事をする風景が戻ってきて嬉しいです。大人が食べている姿をみて、子どもが「わ〜おいしそう〜」という顔をしているのを見ると、こういう食べ物との出会い方も大事だなと。

Airi:楽しく食べるって大事ですよね。

納豆は夜ご飯で!親のストレスを減らす工夫

Asako:あいりさんは楽しく食べるためにお家で工夫されていることってありますか?

というのも、保育園のように大人が複数人いて食事のあとすぐに掃除できる環境でない場合、どうしてもお家では、あぁこの後これを片付けて、その他の家事もやって、と考えると親も子もハッピーに食事をするというのは難しいかなと想像するのですが。

Airi:えーっと、まず濡れ雑巾とガーゼを用意します(笑)娘が食べ終わったら椅子からおろして、口を洗って、体を拭いて、テーブルと床を拭いて・・・というこの一連の動作を、もう感情を捨ててやる!!(笑)

一同:(笑)

Airi:最初は、えー!なんでこんなに汚れるの?!と思ったりしたんですが、もうこういうもんだと思って、ストレスなくやるって決めて、そうしたら苦じゃなくなりました(笑)

やまのこでも子どもたちが何回も着替えているのを見ているので、着替えもするものだと思っています。あーまた洗濯物出ちゃったーと思うと嫌になってしまうので、洗濯物は出るものだと割り切ってます。

Chikako:娘さんがご飯をポイする時はどうしてますか?(笑)

Airi:「あ~!?食べないの~?ママこれだ~いすき!食べちゃお~!」と言って拾って食べたり(笑)あと余裕があればその食材のお話をして私が食べてみたり。お話を聞いてくれる時も必ずしもすぐにその食べ物を食べてくれるわけではないけど、気分転換にはなるのかな?また別のものを触り始めたり、巡り巡って、最初に投げていたものを食べたりすることがありました。

Asako:あいりさんの楽しい食卓の雰囲気作りの工夫が伝わってきますね。

Airi:やっぱり自分が怒っちゃうと、すごくそれが娘に影響しているなというのを感じたので。悲しい雰囲気になっちゃって。まぁそういう時も時々あるんですけど、あきらめずに次はいい感じに食事が終わるように、と心がけています。

Asako:この前あいりさんが教えてくれてなるほど!と思ったのが、納豆は夜ご飯で!です。家でも納豆出したいけど、汚れるな~とか、手掴みならなおさらハードル高いなというご家庭もあるかと思うのですが、納豆は夜ご飯で!その心は?

Airi:食べたらすぐにお風呂に入る!(笑)うちでは朝ごはんや休日の昼ごはんでも納豆は出していなくて、夜のみです。

Asako:納豆でぐちゃぐちゃになったら、よし、お風呂入ろう!というのは割り切りやすいかも。アイデア次第で親のストレスをいかに減らすか、という視点も子どもと食事を楽しむためには必要ですね。

Airi:つかみ食べにしても、納豆にしても、1日に何回もやる必要なくて。家ではつかみ食べはやらない日もあります。疲れてるから今日はもうやんない!っていう日ももちろんあります(笑)。

Asako:やまのこの食に対する考えや環境をいいなと思っていても全部実践するわけではなくて、家でできることをできる時に取り入れている、ということですね。あいりさんのお話、保育者としてとても新鮮な気持ちで聞かせてもらいました。

 

食事を通して喜びを分かち合う経験を

Chikako:楽しく食べるっていいなって感じました。お家で最近食欲ないけど保育園ではよく食べるってよく聞くパターンなんですけど、周りにいる友達や保育者の雰囲気が相まって、食事が楽しい、食べようという気持ちに繋がる部分もあるのかなと思いました。

Asako:私は普段2~5歳の人たちと過ごしているんですが、みんなほんとによく食べます。そして自分の食べる量を自分でわかっている。自分で配膳するので、好きなおかずはたくさん盛ってとか、今日はいつもよりお腹空いていないからご飯少なめにしようとか調整ができる。

見学に来た方や新しく入る職員の人はいつも残飯の少なさに驚かれます。昼食以外の時間でも、クッキーとか野菜炒めとか常に何かを作って食べたり、暖かくなってくると庭の木の実やハーブをかじっていたり、誰かと食べる、分け合う喜びに溢れているなぁと思います。BLWをベースにした乳児期からの食事体験からの繋がりを感じられました。

なつみさんも職員として、保護者としてやまのこごはんと関わっていらっしゃいますが、これまでの話で感じたことや最後に保護者の方に伝えたいことはありますか?

Natsumi:頑張って作ったのに食べてくれない、食べてる途中でご飯を投げて遊んでしまったり、ご飯のあとに床の下が散らかって片付けるのが大変だな、など食事の悩みを保護者の方から聞くことがあります。わたしも悩みながら食事作りをしている1人です。

一生懸命子どもの食事と向き合っているからこそ辛くなることもあるかなと思っています。

少しでも日々の食事が楽になるように、一つの手段として、BLWも紹介できたらと思っていました。離乳食って、食べる量は少ないけど、色々細かく刻んだり、冷凍したり工程が多くて手間がかかることが多いじゃないですか。BLWだったら、細かく刻む必要はなくて、素材そのままなので、その分調理の手間もかからないという良さがありますね。

うちでも次男が1人だとあまりごはんが進まないですが、お兄ちゃんと一緒だと2人でおしゃべりしながらよく食べるので、やっぱり誰かと食べる楽しさっていうのは本当に大事だなと思います。日々の営みの中にある食事が、家族一緒に楽しめる時間になるといいなという願いがありますね。食事を通して、誰かとおいしさや喜びを分かち合うことができる経験が幼少期にできたらと思います。

とにかくお家では無理しないことが一番だと思うので、そういう意味でも1日のうち1食は保育園で自分で選んで自分のペースで食べる、お友達と一緒に楽しく食べる、思いっきり食事を楽しむことを保障してもらっているので、親としてはありがたいです。職員としては、これをしっかり守っていきたいなと改めて思います。

Asako:なつみさん、素敵な企画をありがとうございました。(拍手)

 

ここまでお読みいただきありがとうございました!保護者の方からのやまのこごはんへの感想、要望、質問など、これを機会にぜひご遠慮なくお声がけください!

 

 

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