2018.07.08
きゅうりの水から
Text : Saeko Imai
Sくんのお父さんからいただいた在来種のきゅうりの苗を育てている。
大きくなったきゅうりを見つけてとって、ゆっくり包丁で切って、みんなで食べるのが習慣だ。
その日はきゅうりをとった後、枝の先っぽを見つめていた、Iくん。
「あれ見て!みずがでてる!」
きゅうりをとった後の先っぽから水がにじみ出ていた。
今にもぽたっと落ちそうだ。
「あれどんな味がするのかなあ?」とIくん。
「ねえねえ飲んでみようよ」とSくん。
一滴の雫のような水滴を指でとり、ぺろっと舐めたIくん。
周りにいるみんなは「ねえ!どんな味?どんな味?」と見つめる。
「うへ〜苦い〜」と渋い顔。
「え!?」と驚いた表情のSくんもきゅうりの枝から出てくる水滴を少しも逃さないように慎重に指ですくいとろうとする。
表情は真剣だ。
口の中に入れたら「ん〜〜〜」とあまりパッとしない様子。
「苦かった」と少しがっかり。
「僕も!」「私も!」と集まる子どもたち。
もう水滴は出てこない。
「水どこか行っちゃったね」と残念そうなIくん。
その後みんなで収穫したきゅうりを食べた。
「ポリポリするね」とAちゃん「ポリポリじゃないよ、シャキシャキだよ」とKちゃん。
きゅうりの水と遊んだ朝だった。